2021年10月の読んだ・見た雑記 その1

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辻村深月「水底フェスタ」

ロックフェスを誘致して潤い合併なども必要ない睦ツ代村の高校2年生・湧谷広海がムツシロックで村出身の女優・織場由貴美を見つけるところから物語が始まり、彼女に魅了されていきますが、彼女が村に戻って来た目的は“村への復讐”でした。村の隠蔽体質により母親の自殺を曖昧にされた復讐に村の選挙の際に裏金で票が買われているその金の流れを突き止める、そのために現村長・飛雄の息子である広海に近づいたのでした。

前半は高校生の年上女性とのラブストーリーで進行しますが、徐々に雰囲気が怪しくなり、小さな村の独自の風習とそこに生きる大人たちの異様さが描かれていて、広海もその気味悪さを感じながらも育った村を捨てられない葛藤に揺れるのでした。

結局は「飛雄はO型、由貴美はAB型」で親子関係はなく、復讐も由貴美が母親から聞いた話が嘘だったという“勘違い”からくるものでしたが、飛雄が医者と結託して血液型を誤魔化していた、可能性もあるので何が本当か…

由貴美が最後なぜ湖に飛び込んだのか?も疑問でした。復習する理由もなくなりただ生きていく意味がなくなったということか、もしくは「こうすれば広海は村の不正を公表してくれる」と踏んでいたのか。実際に日馬京介と達哉の家政婦・英恵と接触する場面で物語は幕を閉じますので、この先はわかりませんがおそらく達哉の死に対する償いを広海は考えていたのでしょう。この広海の行動が村に混乱を招くことが予想されますが「村のためなら死さえも隠蔽する」こういった風習から広海は抜け出した、ということでしょうか。若者によって時代は変えられる、これと“ロック”が結び付いているようにも感じました。

由貴美の母が死んでしまっている以上“何でもあり”というか何も確かめることはできないし、本作だけで1つの記事にするほどでもないかと思い雑記にまとめました……それぞれの母親の描写が少なく推理しようとすればかなりの深読みが出来るポイントかもしれませんが。

あと○○村とか~~市が頻繁に出てくる話で広海の友達が“市村”って読みにくいだろ(笑)

「007 スペクター」(2015年)

64のゴールデンアイの方が馴染みあるが、映画はあまり見たことない007シリーズです。人物がMとかQとかCとか覚えにくいですが、良者悪者くらいの認識でも大丈夫でした。お酒や車がオシャレなのは知ってますが、最新のスパイグッズみたいなドラえもん的な楽しみ方やアクションは「ミッションインポッシブル」に劣る印象です。ただマドレーヌ役のレア・セドゥは「ゴースト・プロトコル」でブルジュ・ハリファから落ちた殺し屋モローでした(笑)ストーリーも00部門解体とか…IMFの支援は受けられないとか…似てますね。たくさん撃たれてもなぜか弾が当たらないとこまで似てます。“スペクター”や“ブロフェルド”というもの過去のシリーズで登場したことあるようですが、そのあたりのことまでわかるともっと楽しめたのかもしれません。ただ腕時計の爆弾で相手基地ボカーン!!の壊滅は無理だろ…そんな爆発なら自分たちもブロフェルドも助からないし。

「カクテル」(1988年)

前年の「トップガン」でハリウッドの頂点に立ったトム・クルーズ主演の青春映画、いかにも“80年代アメリカ”なバーで働くシーンは有名ですが、“フレア・バーテンダー”という単語はこの頃は一般的ではないのか?登場しません。「100万ドル稼ぐ」が合言葉のブライアンは学歴がなく企業に雇ってもらえず、偶然見た従業員募集のチラシを見てバーでバイトすることに。そこでダグに出会い腕を磨きいつしかダグと店を持つことを目標にするように。いろいろあってダグとケンカ別れ、ジャマイカで観光客のジョーダンに出会い恋に落ちる。彼女の妊娠をきっかけに稼ぐことより真実の愛の大切さに気付くのでした。

と、こんな感じですが、たいしたストーリーではありませんね(笑)いわゆる“アイドル映画”です。「夢を追い、仲間とケンカ、愛を知り本当に大切なものを見つける」若手イケメン俳優がやるような、現代日本版リメイクだったらお金を払って見に行くことはないと断言できます。なんとゴールデン・ラズベリー賞も受賞し“最低映画”としてトム・クルーズ自身も気に入ってないとか… が、今作のトム・クルーズはとてつもなくカッコイイです!!それだけで当時は「金返せ!!」にはならなかったはずです。ブチギレ演技は「バニラ・スカイ」など他の作品でも多くありますが、音楽に合わせボトル・シェーカーを回し歓声を浴びる、“ノリノリ”爽やかトム・クルーズは実はあまりないのか?新鮮でした。

あの手の賞やランキングは「なんであんなのがヒットするんだよ」という“妬み”みたいなものも含まれるので、とても「その年の最低の映画」とまでは思いませんし、話題に上がるだけ“まし”というやつです。

「レッド・アイ」「キューバ・リブレ」などは聞いたとこあるかと思いますが、カクテルには詳しくなくても最後まで見れます。というより“カクテル”が題材でなくても……”将棋”でも“鳥人間コンテスト”でもこのストーリーは成り立ちます(笑)ビーチ・ボーイズの「kokomo」も流れますが、そこまで好きな曲ではない…

柴田陽子「気が利く人の押さえどころ」

この手の“仕事術”本を読むのは珍しいですが、なんとなく。他人とのいい関係や仕事を気持ちよく行うための細かい気づかいをまとめた1冊ですが、少々やり過ぎな面も(笑)例えば会議に集中していないように見える人がいて、「なぜ?」を考え「トイレに行きたいのかな?」と思ったら、「では10分休憩入れましょうか」と提案するというもの。その人が本当にトイレに行きたかったならいいかもしれませんが、そんなことは見てわかるものではないし、その提案は立場が上の人にしかできないものだし、まぁこういった“気を配る”を意識することの重要性が本書のテーマです。(この場合は会議の大きさにもよりますが「お手洗いよろしいでしょうか」と言い出せる職場の環境づくりみたいなことが前提にあるといいのかもしれません) とにかく少々おせっかいでも「飲み物が空」→「ビール嫌い?他の飲み物頼む?」であったり「上着を着る」→「寒いですね、温度上げますか?」などなど“人を好き”になることで“気付き”も増えてそれが自分の成長につながるのだそうです。そしてそれが仕事にもいい影響を与え周り回って自分のもとに帰ってくる日が来る。

第3章から細かなテクニックが知りたい人も多いでしょうか、「挨拶は自分から元気に」「褒める所を探す」「こちらからの質問多めに」「最低限の事前勉強」「お願いに対し一歩深い質問返し」「メールは返信早く、完璧でなくても、!などニュアンス豊かに、簡潔に」「書類はレイアウト、タイトルで掴む、スリムに」「会議はゴールを明確に、ムードメーカーになろう」… このような点にも気を配って「仕事とは人を喜ばせること」に日々の生活全てが繋がっていることを意識することが重要です。家族・友人であっても“感謝を伝える・変化に気付いてあげる”ことから始められるかもしれません。

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