2021年11月の読んだ・見た雑記 その1

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「ラ・ブーム」(1980年)

13歳の女の子が14歳になるまでの可愛らしい映画です。主演ヴィックのソフィー・マルソーはオーディションで選ばれ、映画はフランスで450万人動員の大ヒットを記録したそうです。気になったのは場面展開が多く、1つのシーンが短いのでストーリーを追うのに苦労する、人物それぞれに深く感情移入できない点でしょう。それと歯科医の父がフランソワで漫画家の母がフランソワーズって分かりにくい(笑)なんで他の名前にしなかったのか?

ブームという子供たちだけの自宅ダンスパーティーと恋愛に夢中の13歳ヴィックマチューという男の子に恋をして、勉強よりも両親の離婚危機よりも恋にのめり込んでいきます。“純愛ラブストーリー”というより“ラブコメディー”なので深く考察するものでもないのかもしれませんが、ヴィックのおばあちゃんハープ奏者のプペットが旅行先カブールで夜中に13歳の孫とマチューを「楽しんでらっしゃい」と送り出すのは…

更にこの映画では中学生の娘ヴィックを“ほったらかし”にし過ぎでは?と思ってしまいます。特に母フランソワーズはマンガの連載が決まり忙しいのはしょうがないですが、フランソワの浮気に“仕返し浮気”としてなのか??娘のドイツ語教師レマンとデート。その後「妊娠した」と言ってもフランソワが「父親が2人いてもいい」と疑われて、なぜ怒る?その後本当にレマンと一線を超える。この辺りの流れが本当にわからなくなり、何か見逃したか?と巻き戻ししました。そしてラストのヴィック14歳誕生日ブームでカブールでケンカしたマチューが来てくれて踊ります「よかった」で終わるかと思いきや、マチューと踊りながら青い目をした“デカプリオ+フェデラー”みたいなイケメンを見つけて新たな恋に…という場面で映画は終わります。この理解・説明できない恋が「14歳になった」ということなんでしょう。プペットも昔はなかなか恋多き女というアドバイスをしていたのでこういう血統ということです。フランスだって色々な人がいるわけで“フランス文化”と一括りにできないかと思いますが、「外国だな~」と思わされる作品でした。

大ヒット映画となった今作ですが、はっきり言って内容より雰囲気であって、ソフィー・マルソーの可愛らしさが9割を占めています。中でもヴィックがブームに何を着ていくかプペットに見てもらうファッションショーのシーンは「WASABI」のモデルでしょうか。コメディー要素もあり気軽に見る映画ですが、友達ペネロプの水疱瘡とかは雑すぎます…赤い絵の具を顔に付けただけでした。しかし、一番気になったのはオープニングから流れるRichard Sandersonの「Reality」という曲らしいのですが、初めて聞いていい曲だな~と思いました……でも何回流れるの(笑)

「バイオハザードIII Extinction」(2007年)

シリーズ物で楽しませてもらってます映画版バイオハザードの3作目になります。日本語タイトルにはありませんが、原題にあるExtinctionは「絶滅・消滅」という意味です。前作でラクーンシティを町ごと消滅させ感染の拡大は封じ込められたかと思われましたが、ウイルスは全世界に広がってしまい、人間だけでなく動植物にも影響が出始め世界は荒れ果てた大地となっていました。アンブレラ社はウェスカー指揮のもとアイザック博士のチームがアリスのクローンを製造し血清やアンデッドの“飼いならし”を研究していました。本物のアリスはアンブレラ社に追われることを察知しカルロス達から離れて一人で放浪している中、ガソリンスタンドでアラスカに生存者がいて感染が広がっていないと書かれたノートを見つけアラスカを目指すことに。生存者クレアの軍団は当てもなくアンデッドから逃れ街を転々と移動していましたが、途中カラスの大群に襲われ危機に、そこにアリスが現れ念動力で火炎放射器の炎を操りカラスを追い払うのでした。共にアラスカへ向かう途中ラスベガスでアイザックの罠にかかりアリスの血液を用いて変異し凶暴性を増したアンデッドに襲われ多くの仲間を失いますが、アリスは自身のシャットダウンさえも阻みアイザックのヘリの行き先を突き止めアンブレラ社に潜入するのでした。感染し死を悟ったカルロスの捨て身の犠牲もありクレア、Kマート、子供たちはヘリでアラスカへ向かい、アリスはアンブレラ社地下研究所で抗ウイルス剤を過剰に打ちタイラントと化したアイザックと戦い、クローン・アリスの助けもありタイラントに勝利し、東京にいるウェスカーに宣戦布告するのでした。

1は低予算ならではの地下研究所、2は予算アップ?もありラクーンシティ地上戦、3では荒れ果てた砂漠と化した“マッドマックス”世界になり「まさか予算削られた?」と思いましたが、これは新しい“挑戦”ホラー映画として異例のほぼ全編明るい世界観になっているのが新鮮です。そのため不気味・怖さは半減という印象でアリスのアクションやアンデッドの作りこみに秀でた第3作となっています。またウェスカーとの闘いがあることを予想させるエンディングは続編があることを明示していて、次回への期待も煽るものとなってます。

  • ジルはどこ?
  • 前作ヘリが墜落してアリスの死体が見つかったのは何だった?カルロスとジルが部隊を率いていたのは何?
  • 2のラストでアンブレラ社がアリスを簡単に逃がしたのはなぜ?

など全く2の疑問点に答えていない点もあり不満ですが、4以降明かされるのでしょうか。今作の疑問は「アラスカが安全」のノートは誰の作ったものなのか?あれも罠なのか?といった点です。またアリスが特殊能力を身に付けたことで「それじゃあ、アンデッドなんか楽勝じゃん…」も不安でしたが、まさかのアイザックの実験によりアンデッドもパワーアップしてました、いたちごっこ(笑) 地下研究所でのタイラントとの戦闘で都合よく“目覚めた最初の部屋”に移動するのが不自然でしたし、1のレーザートラップで倒すというのも若干のネタ切れ感を感じましたが…

そして最後の東京のシーンは全く雑(笑) 地下鉄の入り口?のような案内に「夜空雪風 Tokyo Metro考楽火月星 Zatoichi Square」意味がわからない…宝塚や勝新太郎のファンがいるのか?ゲームは日本発なのに映画には日本人スタッフはいないんだなと思わせるシーンでした。

「イコライザー」(2014年)

めちゃくちゃ強いデンゼル・ワシントン主演の“悪を許せない”日常に隠れたヒーローものです。元CIAのロバート・マッコールはホームセンターで働きながら平穏に暮らしていましたが、読書のために通っているダイナーで歌手を夢見る娼婦・テリー(本名はアリーナ)と出会う。ある日、客に暴力を振るわれやり返したアリーナは売春業者のトップであるロシア・マフィアのスラヴィに見せしめで半殺しの暴行を受け集中治療室送りに。ロバートは9800ドルで「彼女を自由にしてやってくれ」と頼みますが、「これからもあの女で稼がせてもらう」と拒否され話が通じないと判断したロバートはスラヴィら5人を圧倒的な強さで秒殺、しっかり腕時計で時間を図り19秒で片付けます。

この事件を受けボスのプーシキンは元KGBのテディを送り込み、彼は監視カメラの映像やテリーと仲が良かった娼婦マンディを尋問し、ロバートにたどり着くが、ロバートもかつての同僚スーザンから情報を得てプーシキンとテディ「敵の存在」を把握します。汚職警官・フランクからプーシキンの資金源である偽札工場を制圧し匿名で通報し、さらにフランクに「警官として正しいことをしろ」と言いマフィアの情報を聞き出し政府関係者との“黒い関係”の証拠となるUSBデータもFBIに送り、石油タンカーも爆破、いよいよプーシキンを追い詰める。テディも人数を増やしロバートの命を狙うためホームセンターの店員を人質に取り、店にロバートを誘い出すも、そこはロバートの“ホームグラウンド”!!ブレーカーを落とし暗闇で店の工具・薬品などを巧みに使い負傷しながらも一人ずつ着実に“消去”していく、テディは釘打ち機で仕留めるのであった。3日後にはモスクワのプーシキンのもとに単身乗り込みボディーガード含めて一掃し、組織は壊滅。

再び穏やかに暮らすロバートのもとに退院したアリーナが声をかけ、就職したこと読書を始めたこと、退院する際に1万ドル(あの時の9800ドル?)もの大金が私物に混ざっていたことなどを話し、ロバートに感謝を述べ二人は別れるのでした。そしてロバートはいつものダイナーにて立ち上げたサイトで「逃げ場がなく助けを求める人」を集い平等をもたらす“イコライザー”として活動を始めるのでした。

オリジナルは80年代のテレビドラマ「The Equalizer」でそこでは語られているのか、愛する人を亡くしたというロバートの過去も映画では明らかになっていない点も多いですが、昼間の職場ではニコニコ頼れるおじさん、夜は殺風景な部屋で1人過ごす孤独、の対比が魅力的です。現在はどこにも“所属”などしていないので「007」や「ミッションインポッシブル」のような豪華な装備はなく、戦闘になるとバーではワインのコルク抜き、ホームセンターでは電動ドライバー、とその場にある武器となるものを瞬時に把握し、マフィアも可哀想なくらい無残に消去していく点もロバートの特徴です。また最後に読んでいた本は「見えない人間」表に派手に登場することはなくこれからも影に生きて“悪を許さない”生き方をしていく様子を印象付けるエンディングでした。

ダイナーでアリーナと知り合った時にロバートは「ボブだ」と名乗りますが、彼女は「変なの、読書はロバートって感じがする。ボブはテレビ」と言いますが、あれは何だったのか?

柴崎友香「ドリーマーズ」

6つの独立したストーリーから成る短編集ですが、共通しているのは「は?だから何?」という感想を抱くという点… はっきり言って私には(読解力がないだけか?)何が何だかさっぱりわかりませんでした。ただ「こんな夢を見た」「過去の不思議な体験」「寝ている人」が良く出てくるので“夢と現実”のことを描いているのは確かなようです。そして夢が少しだけ現実に影響しているシーンも複数あり、

・千春が中学の同級生である岡崎君の夢を見ると、里奈が切符を無くし対応した駅員が岡崎君だった

・子供のころ車に轢かれた記憶がある幸太郎ですが、どこも怪我をしていない、家に帰ると知らないおばさんがいたので家に入らず、夕方再び家に帰ると、今度は母親がいた

など不思議な出来事があるのですが、後半で「実は…」の“解決”がどの話も起きないので「は?だから何?」となるのでした。一方で現実部分は大晦日の京都のお寺・美術展の光と映像の空間・マンションのベランダ正面に停泊した豪華客船などの描写は長いくらい細かくはっきりと書かれていてその対比も印象的でした。

「よくわからない話が続き最後に繋がるのかな?」も予想して読みましたが、そんなことはありませんでした(笑)ただ最後の「ドリーマーズ」では電車で上着の下にチアガールの衣装を着ている女性(クラップユアハンズの未歩?)に会いますし、妹・沙織の隣の部屋には猫を飼っているニットキャップに無精髭の男(ハイポジションの川口くん?)かと思えるような人物も登場するのですが、おそらく関係ないものと思われます。

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