2021年5月の聴いた雑記 その2

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Don Friedman Trio「Flashback」(1963年)

しつこいほどビル・エヴァンスと比べられることが多いジャズ・ピアニスト“ドン・フリードマン”初期のアルバムです。名盤「Circle Waltz」の影に隠れますが同じ系統、“耽美”なアルバムとでも言いますか“儚い”エヴァンスと対比されることがありますが、フリードマンの方が音数はだいぶ多いし、テクで押すテーマもあります。「Circle Waltz」の”So In Love”はソロピアノで弾きまくりでしたし。

①”Alone Together”スタンダードをベースイントロで幕開けですが、ロン・カーターもやってたかな。シンプルな構成ですが1:35~ソロでは音数多く盛り上げますし、トリルは僅かにリズムから外し惹きつけて、アウトし過ぎないソロ。4:06~エンディングは一人で引っ張ります。②”Ballade In C-Sharp Minor”オリジナルのバラード、ベースが気になる…ディック・ニス?初めて聞いた名前ですが、この手のスローバラードでベースがどこまで出ていくかは好みですね。3:05~1分程ベースソロ、ピッチが怪しい箇所もありますが、構成があっていいソロだと思う。スロー・オリジナルバラードは「メインテーマはどこ?」になるんですが、みんなわかるものなんですかね?③“Wait ‘til You See Her”続いてバラードかと思う約1分のピアノイントロから優雅な軽快ナンバーでした。1:38~ソロ、モチーフふんだんに使いメロのあるアドリブから2:50~ドラムとのバース掛け合いは少しロックなドラムが聴けます④“News Blues”聴いたことあるような?モンク風おもしろメロディーテーマのオリジナルブルースです。ソロの後ろでのベースも目立ちますがピアノはタッチ控え目でクールに“スラスラ”という印象。2:23~4:20がベースソロ長いよ…これは弾きすぎ、ライブのアンコールならいいけど

⑤”Ochre”これは何と表現するのか、クラシック?プログレ?ソロピアノでフリージャズ?終わったかと思えば3:13~ベース・ドラムが入ってきてピアノは居なくなり…こちらも“曲”を演奏するわけではなく“音”を出してます。これも長いよ…「これも音楽なんだよ」と言ってしまえばそうですが、そういうのは嫌いです。7:19~3人でテーマを弾いて終わり⑥“How Deep Is the Ocean”急に有名曲、ドラムが不安定じゃないか?バラードのジャズ・ドラムってあまり気にしたことなかったけど、こういうものか。2:20~テンポがついての演奏、アドリブはこれまで通りにスラスラ~と、4:24~急に落として…不自然…後から編集したカンジ。⑦“Flashback”テクいテーマから0:28~いきなりベースソロというかソロベース一人旅、2:16~ソロピアノは弾きまくりや不協和などなんでも、5:44~ドラムソロ(ソロドラムとは言わないか)6:29~テクいテーマ再開で終わり

バラエティーの富んだとも言えるけど⑤⑦のせいで「何だこれ?」とも思える…僕にフリージャズの理解がないので楽しく聴けないのかもしれませんが、TheJazzが聴きたい人もフリージャズが聴きたい人もどちらも「ん?ああ…」と思わせるのでは?エヴァンスの湿度、モンクのヘンテコ、ピーターソンのテク、の中間のような作品でした。

古今亭志ん朝「志ん朝復活“は”」

“酢豆腐”(1977.6/22)

一杯やりたいが金も肴もない若者たちがいろいろ話してますが、どれもダメなのばっかり…糠漬けに手を突っ込みたくない、ああだこうだ

「暑くて寝てらんねぇよ」「嘘つけ、いびきかいて寝てたろ」

「刺身なんてどうでしょう」「金がねぇから言ってんだろうが」

「他のことなら引き受けるがっていつも言ってるじゃねぇか、何ならやるんだ」「酒を飲めとか…」

「銭があればキレイななりをするよ、試しに銭くれ」

などやり取りは面白いですが、半公をおだててもやらないから50銭巻き上げますが、これは噺とは関係ないかな。その後やっと豆腐の話題へ、釜に入れていたため腐っています。「知ったかぶりのキザな若旦那に食わせよう」となり、“通”とおだてられ若旦那は一口食べてしまいます。

「珍しい食べ物をもらったが食べ方がわからない、通な旦那に食べてもらいたい」

「…よく手に入りましたね、…持ち帰って食べます」

「いや、ここで食べ方を教えてくださいよ」

「…目ピり鼻ツンってやつ…ですな、これは…酢豆腐ですね…」

「よろしかったらもっと召し上がって」

「いや、酢豆腐は一口に限りやす」

というサゲですが、正直「は?…だから?」でした。いつの時代も知ったか野郎がいて、そいつに恥かかせてやった、ってことでしょうか?知ったかの意地を通す若旦那の滑稽さ?前半の何とも掛かってないし、

「う…うっ……うまい!みんなも食べなさい」

「えっ!?うまいの?本当かよ」パクっ……「騙しやがったな、ちくしょ~!」

の方がいいと思う。“賞味期限・消費期限”という言葉もない時代だからこそ、腐ったものを他人に食べさせるなんて現代では出ない噺…だからこその面白さかな。

“鰻の幇間”(1976.9/27)

「うなぎのたいこ」と読みます。野だいこの一八は昼食を誰かにご馳走になろうと浴衣の男に「旦那、お久しぶりです!」と話しかけるがどこかで会ったような…でも思い出せない。「おう、しばらくだな」と言われたので一八は知り合いだと思う。適当に話を合わせていると男が「鰻でも食い行くか?」と言われたのでついていくが、あまり旨くない鰻屋だった。男が便所へ行くが戻ってこない、男は先に帰ったようだ。店員が入ってきて

「お勘定を…」

「えっ!?旦那が払ったんじゃ?」

「お連れさんからは勘定は旦那から、あなたからもらってくれと…」

やられた…というわけですが、高い!!男は土産3人前まで持って帰ってやがった!!

「常連でもない奴をそのまま帰すな」「とっくりの柄が悪い」「マズい鰻だ」「おしめくらい片付けとけ」と散々文句を言い、結局勘定を済ませ帰ろうとするが…履物がない。

「お連れさんが履いて帰られましたよ」

「じゃあ、あいつが履いてたきたねぇ草履出しな」

「あれ、新聞紙にくるんでお持ち帰りになりました」

というサゲですが、履物まで持ってかれた!までが本来の終わり方で、あいつの草履~は追加で足されたものだそうです。「酢豆腐」とは逆に騙そうとした一八が騙される噺なのですが、共通点は“知らない”ってことは恐い、知ったかぶりはやめようってことでしょうか。ただ“相手によく思ってもらうには相手に話させること”は現代でも通用しますね、相手に適度に合わせるのは大事だけど、一八は合わせ過ぎたわけです。

「お勘定まだなんですが…」からの慌てぶり、立て続けに文句言う場面の加速っぷりが見事でした。でも、男もどうせ一八を騙すつもりならもっといい鰻屋にするべきだったのでは?いい鰻屋だったらこんな食い逃げは出来ないか。あと鰻が早く出てきたのはなぜ?焼き方も知らない程酷い鰻屋ってこと?

Crazy Ken Band「Galaxy」(2006年)

タイガー&ドラゴン繋がりでCKBを聴きます。アルバムはどれも曲数が多いのが特徴です…今作も24曲…多いのでレビュー飛ばす曲もあります。①はアルバムイントロ、②“ハマのアンバサダー”南国サウンドに剣さんの演歌っぽくも聞こえる低温ボイス、キルキル~からiruiru音ラップは歌詞カード見ないと聞き取れないくらい③“AMANOGAWA”スガシカオ風イントロから琉球曲でした。三味線も小野瀬さんが弾いてます、多才ですね。ギターマガジン2011年6月号でピックアップの試奏CDが入ってて「誰これ?うめ~」と思ったのが懐かしい。⑤“メリメリ”ゆる~いビートのミディアム曲、こういうのは実はSMAPのアルバム中盤のイメージ。2:02~ギターソロは歌メロにつなげる構成力のあるソロ

⑥“Shock HAWAIIAN Shock”ベースがすっごい効いてますが、ホーンが強めになると米米CLUB感が出ます。ギターカッティングはうっすらとですが、マイルドに支えてます⑦“混沌料理”中華風サウンドのギターはサーフ系、「お客さん何名様ですか?」は今は一人でもあとから連れが来るかもしれないから、店側は聞かないといけないんです。冷えた酸辣湯て…⑨“アイワナゲチョラ”やっぱりJB系もありますよね。小野瀬さんのギターも楽しみでしたが、CKBは洞口さんのベースが聴きどころかも。⑩“ゆっくり跳ねる音楽” ここまでで最もJ-POPの範疇のゆったりミディアム曲もベースに耳が傾きますね。Chine Townってことはやはり場面は横浜?⑪“俺たち海坊主”小野瀬さん作曲のサーフ・インスト、このパキパキ音色のギターインストは地味ムズですよね。

⑭“秋になっちゃった”曲数的にもここから後半ですが、内容的にはガラッと場面展開ってわけでもない⑮“黒い傷跡のブルース”4ビートで夜ムーディー、小野瀬さんの名前あるけどギターいる?ほぼ聞こえない⑰“プレイボーイ・ツイスト”1:04~10秒くらいギターソロ…短いよ、布袋さんもたま~にこういう曲調あるけどソロ1分弱弾くカンジ⑱“ミニスカハコスカヨコハマヨコスカ”1:13~ギターソロですが、20秒くらい12小節ひとまわしだけ⑲“B.B.B.B.B.”小野瀬さん作曲のクラプトン風楽曲、ギターも多めですが弾きすぎずどのソロもペンタ中心でスッキリとまとめます。トレビア~ン

㉑“ボタンのかけ違い”しっかりとBメロがあるのは珍しい新鮮、フルートがアクセントですがソロなど無く出番は少な目、2:09~ワウを絡めたギターソロ、ワウのカッティングはここまでないかな?㉒“12月17日”来週イブの抑え目しっとりバラードですが、「溶け合って」「クリスマス・イブ」ではリズムのアクセントもあり、小野瀬さんのシタールも登場ですが、クリスマスソングってカンジではなく古内東子サウンド㉔“OAMAKE!:肉食系”歌詞はデタラメ語なので(笑)レッチリでもあったかな、こういうフリーセッションもアンコールでは映えますよね。3分しかないですが、ライブならもっと10分くらいでもいいかも。

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