2021年6月の聴いた雑記

music

Van Morrison「Moondance」(1970年)

イギリスのソロのミュージシャンってこと以外は何も知らないけど、聴きます。元どっかの有名バンドってことでもないようですが、“ゼム”というバンドでデビューとのこと…知らない。①“And It Stoned Me”アルバム・オープニングからいきなり歌い出しとは珍しい(笑)酒場で流れてそうなフォーク曲。アコースティックメインのゆったりサウンドだけどギターソロもピアノソロも構成しっかりしてて完成度は高いです。声も歌い方もボズ・スキャッグス風かな、ミック・ジャガーにも聴こえる。②“Moondance”ピアノとベースが効いてるジャジャーな表題曲、フルートが若干かすれてるけど…2:03~ピアノソロは古いピアノのサウンドでテクもあるいいソロ、2:32~サックスソロも歌のつなげる構成力、歌のバックにしてはフルートが自由に吹きすぎにも感じるけどまぁいいか、それより気になるエンディングの雑なフェイドアウト…もったいない③“Crazy Love”これもアコースティックゆったり曲ですが、歌も囁くようにさらにコーラスはうっすらゴスペル風です。3分ない短い曲なのであまり書くこともない。④“Caravan”この辺から「テンポあるノリのいい曲は無いな」と気付きますし、エレキギターも出番無いかな。ホーンはおまけではなく本格的にアルバムに参加してるんですね。4:16~変なla~laコーラスが入り繰り返しのままフェイドアウト⑤“Into the Mystic”ポップス寄りのこの曲はビリー・ジョエル風?音数はが減るとまたベースが目立ちますが、ジョン・クリングバーグ…知らない人です。

⑥“Come Running”牧歌的なリズムにもホーンを付けますね。短い曲でボーナストラック的な印象でこれこそ雑なフェイドアウトでも味がありますが、しっかりキメを合わせたエンディング。⑦“These Dreams of You”ブレイクが入るブルース調かと思いきやそうでもない、オルガンをうっすら入れた展開のあるポップス。3:19は「羽柴」って言ってる?⑧“Brand New Day”ピアノが引っ張るのバラード、この曲調の方が強弱あるボーカルが映えるし、たまにはホーンが控え目なのも変化になっていいと思う。2:53~ピアノとアコギが両方ソロの入るような「?」なセクション⑨“Everyone”3連系ですが独特なノリ…アコギの音色はというか録音がシャリシャリ過ぎて音符・コード感が聞こえず打楽器の役目になってます。⑩“Glad Tidings”イントロから全編通してベースが引っ張りますが、ベースの頑張りだけが浮いてるような…ダンス系で実は“ベース頑張ってるな~”って曲たまにありますよね。

White Stripes「Icky Thump」(2007年)

姉弟という設定だが夫婦という?よくわからない2人組ですがジャック・ホワイトは有名ですね。2011年に解散しましたが、今作が彼らのラストアルバムとなっています。①” Icky Thump”ツェッペリン的ボーカル&ドラムですが、ギターはプログレチックでもあり攻撃的です。3:10~のギターソロはわけわかんない音色でジミヘン風とも取れるけど“逃げ”とも感じる。CDも最低限の決め事で基本的にセッション形式で進行するのでライブバージョンも聴いてみたい②” You Don’t Know What Love Is”2人だけで演奏している印象でしたが、この曲はギターも2本・鍵盤もいてちゃんと歌メロのあるポップな曲、なんですがギターの音が大きすぎるような…こういうサウンドなんでしょうが、でもソロは無い…ギタリストが個性を出すのにはギターソロが1番だと勝手に思っているのでこれで「現代ギターの神」みたいな扱いは納得いかない。

③”300 M.P.H. Torrential Outpour Blues”これもギター1本じゃできないツェッペリンです、シンバルの粗さがそう聞かせるのかも。3:22で編集しているような違和感…“静と動”みたいなことをやりたいんだろうけど、テンポも落ちた?④”Conquest”急にホーンが入ってくるエスニック?スパニッシュ?、歪みもファズなのが70年代っぽさなんですね。⑤”Bone Broke”イントロのリフは良かったのでそこからストレートな8のカンジでいってほしかったですが、序盤は各パートが少しずつズレたようなノリで、中盤からアクセントも合わせてジャ~ンジャ~ンジャンなどドラムが大変そうな曲

⑥”Prickly Thorn, But Sweetly Worn”アイルランド風?これまでの雰囲気とはガラッと変わりますが、同じパターンをずっと繰り返すだけで飽きます。このノリを引き継いでの⑦”St. Andrew (This Battle is in the Air)”は短い曲、何がしたいのかはわかりませんが、勢いで作って“天才”をアピールしたいかような特に内容のない曲。⑧ “Little Cream Soda”低音弦と高音弦の弾き分けが難しそうなリフからRATM風のラップ調しゃべりボーカルですがワーミーは使わず⑨”Rag and Bone”スウィングなノリはデイブ・リー・ロスっぽさも感じますが、音域はやっぱりプラントなのでHot For Teacherには聞こえないかな。ドラムが少し軽く、というよりアルバム通してスネアの音が印象にない。⑩”I’m Slowly Turning into You”イントロはELP風?これも70年代と言えるのでいいのかな、この曲のボーカルは少しRUSHに聴こえる。歪みも独特だけどここまで深くかけるとチューニングも特殊に感じる。

⑪”A Martyr for My Love for You”またツェッペリンに戻ってきましたが、この曲こそドラムはもっとダラっとしていていい気がする。オルガンもありギターも重ねていてやっぱり2人では無理ってこと?にしてもなぜギターソロを弾かないのか…⑫”Catch Hell Blues” ブルースには聴こえないけどボトル風のサウンドでアクセントを合わせてフレーズの強さを出すのが多い音楽なのかな、つまり印象に残る長いフレーズがない、ジャジャ! ジャジャ! ジャジャ!ジャジャ!とかフレーズが短いのでアルバムの中で変化が出ない「またこれね」が多い。Black Dogのようなリフがあると印象も変わると思う。⑬”Effect and Cause”一気に普通のイギリスバンドになったカンジで意外、これは2人で演奏しているのが伝わる…まぁそれだけ⑭”Baby Brother”これは70年代よりもっと前だけど今度はドラムの音が大げさ。最後までギターは打楽器でしかなかったかなという印象。テクは無し、コード進行の巧みさも無し、“2000年代で最も重要なバンド”っていうのはよくわからなかった。

古今亭志ん朝「志ん朝復活“と”」

“おかめ団子”(1980.6/16)

場所は今の六本木あたりに繁盛している団子屋「おかめ団子」がありました。歳は18の看板娘”おかめ”を目当てに通うお客も多いのだとか。風の強い日に早く店を閉めようとすると大根屋が団子を買いに来て、母親がお気に入りの団子を土産に来たとのことで店の主人は大根屋にもサービスで団子を出してやりました。売り上げの勘定を見てその繁盛っぷりに驚く大根屋…家に帰ると母親がいつもより遅いので心配で帰りを待っていました。寝るにも痛い薄い布団で母親を寝かしてしまっている稼ぎの少ない自分…せめて布団くらい買ってやりたい思いから団子屋の売り上げを盗もうと考えます。

店についたが「こんなことダメだ…でも孝行したい」と庭に入ると、なんとおかめが木の枝で首をくくろうとしている場面を目撃してしまいます。慌てて大根屋はおかめを止め、騒ぎを聞き主人が駆け付けます。おかめは親の決めた結婚を受け入れられず、かといって断り切れず命を絶ってしまおうと考えたのでした。

「ありがとう、娘を救ってくれて。ん?あんたさっきの大根屋?なんでこんな時間に?」

「いや…その…大根いかが?」

なんてやり取りをしていましたが、大根屋は観念して盗みに入ろうとしたことを白状します。母親のためにそこまでして孝行したいなんて…主人は大根屋を許しおかめの嫁入りも無しにすることに。しかしおかめは大根屋とならいっしょになってもいいと思うように。こうして大根屋はおかめ団子に婿入りし一生懸命働き店も繁盛し幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし

と、そのまま書いてみましたが、これは…笑い話…ではないってことでいいのでしょうか?教訓みたいなものも無し?こんなことがあったとさ、で気楽に聞くタイプの落語ということなんでしょう。「起きろって言えば起きない、寝ろって言ったら寝ないな、てめぇは!」くらいしか笑い所はなかったような

「あの子は孝行するよ、きっと」

「なんでだ?」

「大根屋なんだから、コウコウするよ」

がわからなかったけど”香々”で漬物という意味なんだそうです。お新香とかの「香」ですね。

“茶金”(1980.6/16)

清水寺の茶屋で日本一の凄腕目利きの“茶金”がお茶を飲んでその茶碗を見て何度か首を傾げて出て行った。それを見ていた“油売りの男”が茶店の主人に「その茶碗を譲ってくれ、売ってくれ」と申し出る。なんでも茶金が手に取るだけで値打ちが出る、1回首を傾げれば百両の値が付くのだそう。それを主人も知っていたもんですから、結局3両で買うことに。

油売りはその茶碗を茶金の店に持っていき「六百両するんだが三百でいい」と言うが、番頭に「清水焼の数茶碗ですね、さらで六文、古くなったら一文の値もしません」と言われ…「いや…そんなことはねぇ、よく見てくれ」「そう言われましても…」奥から茶金が現れ茶碗を見る「清水焼の数茶碗ですね、さらで六文、古くなったら一文の値もしません」

油売りは「3日前茶屋で首傾げて見てただろ」と言うが、なんとひびも無いのにポタポタとお茶が漏れるから不思議だな~と見ていただけでした。三百両で江戸に帰り借金を返し暮らすことを考えていた油売りは落ち込みますが、「茶金の名を買ってくれたことがうれしい」と茶金が十両貸してくれることに「少しずつでいいから返しに来なさい」

そんな“不思議な茶碗”の話がまわりまわっての耳に入り「波天奈」という名を頂きなんと千両の値が付くことに。茶金は「油屋さんに分けてやらねぇとかわいそうだ」ということで油売りの男に三百両をあげることにしました「これで江戸に戻ってやり直しなさい」

後日、茶金の店の前が騒がしい。油売りが大きな箱を持って来る。

「油屋さん、江戸に帰ったんじゃないのかい?」

「旦那、今度は十万両の金儲けですよ」

箱の中には水の漏れる水瓶が入っていました。

と、こちらもそのまま書いて見ましたが、こっちの方が好みです。いかにもどうしようもないバカな奴って感じで笑える落語ですね。一文もしない茶碗がまさか千両になっちゃったり、

「ちくしょう、だからよく見ろって言ったじゃねぇか!!」

「いやいや、あの茶碗自体は価値あるもんじゃないんだよ」

のやり取りも志ん朝の軽快さがありドッと笑いが起きます。噺も面白いものでしたが、落ち着いた茶金やそそっかしい油売りの演じ分け、帝の「その茶碗、朕見たい」を少しコミカルに言い、お客も「これで値打ちが付くのか」を察知し笑いが起きるあたりも見事な芸でした。

ただ「もるの」と言われても何のことか始めわかりませんでした。「漏れるもの」という意味で、志ん朝は「水瓶の漏るやつが入ってる」で終わります。参考までに他のも聞きました。志ん生は「大きな水瓶の漏るの」で終わりますが、初めて聞いた人は「え?ミズガメノモルノ?」って一番大事な部分が伝わらないんじゃないでしょうか。まぁこちらの勉強不足ですが、

「ん?水瓶だね、何だいこれ?」

「これも水が漏れるんです」

なら今の若者にも伝わると思う。

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